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Vol.09 伝えたいことを伝えるための写真術 Vol.09 | 2026.6.6 配信

伝えたいことを伝えるための写真術

ゲスト:写真家・渡邉真弓さん

主催する「北海道カメラ女子の会」は会員600名超え。メニュー写真に悩むオーナーにも、これからカフェをやりたい方にも、写真と向き合う時間を豊かにしたい方にも、ぜひ聞いてほしいエピソードです。

※ Spotifyアカウントなしでも30秒お試し再生できます。続きは各プラットフォームで。

書き起こし

Vol.9「伝えたいことを伝えるための写真術」本編の会話を、読みやすく編集してお届けします。(聞き手:鈴木謙太郎/川筋愛友、ゲスト:渡邉真弓)

ゲスト・渡邉真弓さん

鈴木

今回のゲストは、写真家の渡邉真弓さん。写真事務所「allô?(アロー)」の代表で、北海道カメラ女子の会を主宰されています。会員はなんと600人ほど。富士フイルムのX-Photographerで、OM SYSTEMのズイコークラブの講師などもされています。初心者から上級者まで、写真との距離を縮めてくれる、背中を押す側の方だなと思ってお呼びしました。

川筋さんの写真の悩み

川筋

お店のメニュー写真を撮る時、光がどう入るかとか、何も考えずになんとなく撮っていて。しかも撮るのが夜なんです。「オレンジと白の光が入り混じるお店だから、夜のほうがいいよ」と言われて、そのまま夜に撮っていて。

渡邉

実は、光量が少ないほうが写真は難しいので、夜じゃなくて明るい時間に撮るべきなんです。光は、多いものを減らすことはできても、少ないものを持ち上げようとすると、感度を上げてノイズが出たり、暗く残すしかなくなって手数が減ってしまう。だったら明るいうちに撮ったほうがいい。混ざった光の色は、ホワイトバランスシフトという機能で、撮る瞬間に調整できますよ。

iPhoneで撮るコツ

鈴木

お客さんのほとんどはiPhoneで撮りますよね。どう教えていますか。

渡邉

レンズが複数あるなら、少しズーム目に。あと、カメラを上にして上から撮るより、ひっくり返してレンズを下側にすると、パースが綺麗だったりします。端は歪むから真ん中に置く、丸いテーブルなら奥のほうに置く、とか。今は食事系の俯瞰も流行っていますが、iPhoneは十字のマークを合わせれば俯瞰が撮りやすいので、小さい分、構図を楽しめるんです。ポートレートモードのボケは、疑似的で少し繊細さを失うので、そこは好みですね。

コンデジ、フィルムの楽しさ

鈴木

最近、コンデジがまた来ていますよね。

渡邉

最新のコンデジは性能もすごいし、見た目も可愛くて。スマホで撮れるものを、あえてカメラで撮る。ちょっと意思が働く感じ、道具を持つ感覚が、かっこよく見えるのかもしれません。カメラがあると「せっかくだから撮りに行こう」と行動が広がる。旅行に行きたくなったりもする。その後押しも、カメラの楽しみなんです。

鈴木

僕もナチュラ クラシカというフィルムカメラを持っていて。わざわざ現像しなきゃいけないのを持っていく、あの後押し感がいいんですよね。デジタルとフィルムは、時間の流れが違う気がします。

渡邉

富士フイルムのフィルムシミュレーションは本当に良くて。撮る瞬間から、ファインダーでもうその色が見えているんです。色が好きで富士を選ぶ人は多いですね。富士は、みんなの記憶にある色——記憶色を再現する方向だと言われていて。私たちが普段見ている自然の色に一番近いんです。

まず「よく見る」

渡邉

一番最初にお伝えするのは、「よく見ましょう」ということ。まず肉眼でよく見て、何が撮りたいかを決めてからピントを合わせる。初めての人には、中央一点でピントを合わせてから構図を作りましょう、と伝えています。カップを漫然と見るんじゃなくて、自分はどこがいいと思ったのかまで分析する。それが写真の個性になるんです。「自分らしい写真を撮りたい」とみんな言うけど、その癖がついていれば、勝手にそうなっていくので。

一枚に収めない ― 組写真という考え方

川筋

ケーキとコーヒーを撮る時、本当はコーヒーをメインに撮りたいのに、今回の主役はケーキだ、と思って撮っていて。コーヒー好きすぎるのかな、と。

渡邉

それは、組写真で考えればいいんです。一枚目はケーキをメインに、後ろにボケたコーヒー。二枚目は、このコーヒーにはこれが合う、というペアリングでコーヒーを主役に。一枚で収めようと思うから難しくなるんです。

鈴木

これ、スチールカメラマンが動画を始めた時に最初に陥る罠と同じで。一枚で全部収めようとすると、尺が作れないんです。動画は前後を組み立てて尺を作る。逆に、レイアウトの美しさはスチールカメラマンに敵わないなと思う。言いたいことが二つあるなら、素直に二枚あっていい。SNSは一枚目で判断されるから、プラットフォームとして使い分けて、自分の言いたいことは二枚目に、でいいんです。

川筋

私、少し暗めの写真が好きなんですけど、食べ物は明るいほうが美味しく見えるのかな、というジレンマがあって。

渡邉

手前にレフ板を一枚——白い画用紙やボードでいいので——置くと、反射で暗いところの輪郭が浮き上がってきますよ。光を受けて跳ね返す方向を意識すれば大丈夫。あと、渡邉さんも鈴木さんも、私も、深い黒よりローコントラストで、グラデーションの中に美しさを求める派なんですよね。

とにかく撮って、見て、褒める

渡邉

私は、撮った時の焦点距離で撮りきる派で、トリミングはしないんです。後でなんとかしよう、はなんともならないので。自分の体を使って、被写体との距離を変えながら撮る。繰り返しやらないと定着しないから、最初は家に帰って、良く撮れた写真とダメだった写真を見比べて、どうしてダメだったかを検証していました。でも、それだけだと嫌になっちゃうから、最後は良く撮れた写真を見て、自分を褒め称えて終わる(笑)。生活を楽しくするために写真を始めたなら、楽しくなってほしいので。「何気ない毎日こそ、美しい」。忙しいと見落としてしまうことを、カメラで撮ることで、自分にもう一度思い出させる感じなんです。

B-Side NOTES ― 福岡

鈴木

川筋さん、先日福岡に行ってきたんですよね。どうでした。

川筋

めちゃくちゃ良かった、移住したいくらい。食べ物が美味しいし、人が温かくて。とにかく都会で、電車もおしゃれだし、天神の駅を出て道路を見たら、ドキドキするくらいかっこよかった。コーヒー屋として紹介したいのは、南区塩原にある「テノン」さん。ネルドリップで、手回しの焙煎機を使っていて。閑静な住宅街にある、昔ながらの喫茶店で、BGMも装飾も本当にシンプル。コーヒーを純粋に楽しむのにぴったりの空間でした。ちょっと忙殺されていた部分があったな、と反省して、もっと一つひとつのコーヒーに向き合おうと思いました。

鈴木

僕も福岡は、朝早くから夜遅くまでカフェが開いていて、いいなと。あと水炊きが、鶏を張ってこそのシンプルな美味しさで、全員食べたほうがいいと思うくらいでした。

おわりに

鈴木

カメラもコーヒーも、もっと楽しみたいなと。ある程度年齢を重ねて、自分が確立されているところはあるけれど、それでも挑戦を続けている。いくつになっても探究心は忘れずにいたいですね。「決めてかからない」というのは、今の人たちにも言いたいところで。渡邉さんが主催するフォトフェス「Cui Cui(キュイキュイ)」も、カメラメーカーの協賛がついた、毎年大盛況のイベントなんです。渡邉真弓さんの活動やワークショップの案内は、SNSでチェックしてみてください。配信と同時に、番組の雰囲気に合わせたソングリストをSpotifyにアップしています。お届けしたのは映像ディレクターの鈴木謙太郎と、

川筋

枯淡珈琲の川筋愛友でした。ありがとうございました。

※ 読みやすさのため、話し言葉を一部整えています。内容は本編音声にもとづきます。聞き取りづらい一部の固有名詞は、確認のうえ表記しています。