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Vol.04 居心地の正体 Vol.04 | 2026.3.28 配信

居心地の正体

ゲスト:Ordinary オーナー・noyさん

番組初のゲスト回。円山のカフェ「Ordinary」オーナーのnoyさんを迎え、テーマは「居心地の正体」。空間、音、照明、家具の配置——五感に働きかけるデザインを、商品開発やコンサルも手がけるnoyさんの視点から解き明かします。見えないプレッシャーの中で自分の色を出し、新しい居心地を設計していく若き経営者たちの「覚悟」について、カウンター越しに静かに語り合いました。

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書き起こし

Vol.4「居心地の正体」本編の会話を、読みやすく編集してお届けします。(聞き手:鈴木謙太郎/川筋愛友、ゲスト:noy)

ゲスト・noyさん/Ordinary

鈴木

第4回のテーマは「居心地の正体 ― 空間、音、デザイン、時々文脈」。番組で初めてのゲスト、2月にオープンしたばかりの円山のカフェ「Ordinary」オーナーのnoyさんです。先日、札幌カフェマップの撮影でお邪魔したんですけど、居心地がすごく良くて。若い方のお店だと、写真映えや若い女性を意識している感じがして、おじさんは遠のきがちなんですけど、しっかり包み込んでくれる感じで、想像していたのと全然違いました。

noy

接客するのが私自身なので、逆の立場だったら入りづらいお店は嫌だなと思って。男性一人でも居心地悪くないように、いろいろ考えています。前職のアレイカフェの時から、それはやっていました。

間借りの時期が大きかった

鈴木

実店舗に至るまで、間借りの期間があったんですよね。

noy

前職のアレイカフェやエニーカフェは、私が頑張らなくてもある程度完成されたお店だったので。そこを抜けて、テナントが見つかるまで間借りで活動した期間は、自分でやり方を模索しながらだったので、今の実店舗にすごく生きています。間借りって、他の仕事をメインにせず、フリーターで間借りだけで生活していたので、週3くらいの営業の売上で生活するのは、だいぶきつかったですね。私は前職のつながりで「貸すよ」と言ってくれるオーナーさんが多くて、場所探しには恵まれたほうですけど。実は、アグリさんで間借りしていた時期もあって、パスタも出していたんです。

カフェの世界へ

鈴木

商品開発やコンサルもされているんですよね。料理は、学んで入ってきたんですか。

noy

カフェに入ってから、基本は独学で。昔からカフェ巡りが好きで、このお店の具材はどんな味だろう、と自分で分析して、後から作ってみる。本やSNSからヒントを得ながら、改良していく感じです。商品開発から、撮影、SNSの運用まで手がけていて。うちのお店の写真も自分で撮っています。

鈴木

いただいたナポリタン、アンチョビが入っていて、香りが複雑で美味しかったです。ああいうのも、食べ歩いて見つけたんですね。

居心地をどう設計するか

鈴木

Ordinaryは、席がカウンター、2人掛けテーブル、と用途に合わせて分かれていますよね。

noy

写真を撮るのが好きな方はこの席、お食事を楽しみたい方、コーヒーだけゆっくり楽しみたい方、と、いろんなアプローチで席を用意していて。自分がお店に行った時に「こうだったらリラックスできるな」という部分を取り入れました。正直、居心地の良さを自分で客観的に見たことはなくて、お客様に言われて、やっと答え合わせができる、という感じなんです。

川筋

うちは、全部壁を向いている作りで。その時点で没入感があるというか、自分の世界に入りやすいかなと思います。

有名店の居抜き、という覚悟

鈴木

Ordinaryは、ツバラツバラの居抜きですよね。有名店の居抜きで入るのって、前のお店のイメージがあるから大変だと思うんです。

noy

それ、間借りに通じるものがあると思っていて。間借りする人も、そのお店のイメージを持ちながら入るから、難しいなと。でも、今はもう自分のお店としての覚悟があるので、割り切ってやれています。

鈴木

28歳で、その覚悟。僕が独立したのは30手前だったけど、立派だなと感心します。自己分析ができていて、主軸がしっかりしている方だなと。

B-Side NOTES ― ミュージアムカフェ

鈴木

今回はミュージアムカフェの話を。青森県の十和田市現代美術館にある「cube cafe&shop」。この美術館、展示室がそれぞれ独立した箱で、家の集合体のような構造で、カフェもその「街」の一部として自然に存在しています。何より特別なのが、カフェ空間そのものがマイケル・リンのアート作品になっていること。床一面に鮮やかな花模様が広がっていて。「アートを鑑賞した後にカフェに行く」のではなく、「カフェでくつろぐこと自体がアート体験の一部」になっているんです。デートスポットにもなっていて、人の存在そのものをアートとして設計しているらしくて。

鈴木

弘前れんが倉庫美術館の「cafe & shop BRICK」がレンガの重厚感なら、十和田はホワイトキューブの開放感。僕の最初のミュージアムカフェ体験は、ロンドンのテイト・モダンなんです。当時のロンドンは食べ物が本当になくて、休みの日に美術館を巡っていたら、そこのカフェが美味しくてホッとして、通うようになって。青森は、公園に現代美術が遊具のように並んでいたり、アートと人の生活の距離が近くて、羨ましかったです。札幌はミュージアムカフェが少ないので、もっと増えてほしいなと。

独立という孤独

川筋

独立するって、孤独との戦いじゃないですか。決定権が全部自分にあるって、孤独で。初めてお店をやった時、しんどかったな。相談に乗ってくれる人がいないわけじゃないけど、話さないほうが楽な瞬間もあって、でも誰も聞いてくれないみたいな、不思議なぐるぐるを繰り返して。人の出入りはある空間を一人で回しているはずなのに、戦う相手は自分、という感じで。

おわりに

鈴木

今日はnoyさんに来てもらいました。アレイカフェの印象で「女性向けなんじゃないか」と思っている人もいるかもしれないけど、すごく居心地のいいお店で、それでいて、はかりごとがないのがすごい。「自信がない」という言い方をされていましたけど、自己分析ができて、主軸がしっかりしている方だなと。近所の老舗のオーナーも「素敵なお店ができた、街を盛り上げてくれれば」とおっしゃっていました。配信と同時に、番組の雰囲気に合わせたソングリストをSpotifyにアップしています。お届けしたのは映像ディレクターの鈴木謙太郎と、

川筋

枯淡珈琲の川筋愛友でした。ありがとうございました。

※ 読みやすさのため、話し言葉を一部整えています。内容は本編音声にもとづきます。聞き取りづらい一部の固有名詞は、確認のうえ表記しています。