町を撮る、町に住まう
ゲスト:中村来実さん(長沼町地域おこし協力隊・写真/デザイン・@maoi_lamy)
今回のゲストは、長沼町地域おこし協力隊の中村来実(らみ)さん。写真とデザインを武器に、暮らしながら町の魅力を発信しています。愛犬のために辿り着いた長沼町の大雪原、ブライダルフォトから「暮らしながら撮る」写真への変化、そして「クリエイティブで地域に何ができるのか」という問いまで、同じ発信する側の鈴木も深くうなずいた一時間です。
コペンハーゲンに6店舗を構える、知り合いが料理長を務めるラーメン店です。
書き起こし
Vol.14「町を撮る、町に住まう」本編の会話を、読みやすく編集してお届けします。(聞き手:鈴木謙太郎/川筋愛友、ゲスト:中村来実)
ゲスト・中村来実さん
今回のゲストは、長沼町地域おこし協力隊の中村来実さん。川筋さんのお友達で、写真とデザインで町おこしのようなことをされている、20代の方です。川筋さんとは、どんな経緯で知り合ったんですか。
2年前くらいに、共通の知り合いに「気が合うと思うよ」と紹介されたのがきっかけです。当時は札幌で写真の仕事をしながら、犬のトレーナーのような仕事もしていました。写真は、もともとブライダルの会社にいて。
お店のステッカーを作りたくて、「写真を撮って」とお願いしたのが最初でした。今もいろいろお願いしていて。コーヒーチケットを、らみくんにアイデアをもらいながら一緒に作っているところです。
長沼町へ移住した理由
愛犬のために広々とした土地で暮らしたい、というのがきっかけだったとか。
ほぼ本当です。もともと東京にいたり、沖縄にいたり、いろんなところに行ったんですけど、出身が北海道なので、冬に雪がない感覚がどうも狂わせて。やっぱり北海道がいいなと戻ってきたのが札幌で。でも田舎に憧れがあって、移住しようと考えていた時に、移住担当の方——今は同僚ですが——から「地域おこし協力隊の募集があるよ」と誘われたんです。
私はフリーミッションという形で入ったので、公式SNSの担当とはまた別に、自分の特技を生かして、個人的に好きなアナログな方法で発信をしています。紙媒体を作ったり、足を使って取材をしたり。今年中には、長沼町として冊子を発行する予定です。あとは、ブライダルの経験を生かして、小規模・家族にフォーカスした結婚披露宴のできる場所づくりも進めていて。長沼って、ポテンシャルに満ちた場所だなと感じていて。
写真との向き合い方
写真のスタイルは、変わってきましたか。
全然変わりました。最初はお客さんありきで、「写真は綺麗じゃなければいけない」という世界にいて。何年かいて染まって、違和感を覚えた時に一度離れようと思って、東京へ。そこでルームシェアしたのが、デザイナーやPRをやっている、いろんな業界の子たちで。「綺麗じゃなくてもいいんだ」と気づいて、方向性がバッと変わりました。今は、被写体が暮らしの中にある。まさに、今やりたいことなのかなと思っています。
写真って、僕らの映像と違って、シナリオという柵がないですよね。感覚勝負なところがあって、難しいんだろうなと。美瑛に住んでしまった写真家といえば、前田真三さん——拓真館の。
瞬きしたらシャッターが切れればいいのに、と思う瞬間が結構あって。スイッチが入った時にカメラを持ち歩くので、日常とはまた違ったアプローチになる。ある意味、自分の中で写真をデザインしているのかもしれないです。
クリエイティブで、何ができるか
クリエイティブで地域おこしをする、というのは、正直、僕もすごく迷っていて。カフェは人が集まる場所になり得るけれど、クリエイティブって何ができるんだろう、と。それらしい文章を書いては「本当かな」と思ってしまう。らみさんは、どんなふうに向き合っていますか。
本当に難しいし、正解はないし、永遠に悩むと思います。でも逆に、正解がないからこそ、何をやっても正解にできるし、何をやっても間違いでもある。まずその覚悟が必要だなと。しかも田舎なので、誰が何をやっているかがすごく分かる。正直じゃないとバレる、という難しさもあります。
常に、自分の中で100%の出来ではない、というところがあって。100%になった時に、きっと写真やデザインをやめてしまうな、と思うんです。「ここがこうだったらもっと良かった」という追求心は、どのジャンルでも持っていたい。だから、写真だけにとらわれないようにしたのが、一番大きいですね。
僕もこのポッドキャストを始めた時に思ったのが、ディレクションやプロデュースというより、発信者でありたい、媒介でありたい、ということで。「表現」と言うより「発信」だな、と。
長沼町の魅力
実際に住んでみて、長沼はどうですか。
一言で言ったら、めちゃめちゃいいです。カフェもたくさんあるし、ご飯も野菜もお米もおいしい。若い移住者が増えているのは、単純に「人」かなと思います。基本的にすごくウェルカムな町で、「こういうことをやりたい」と言うと「やろうよ」と言ってくれる方が多い。その一方で、自分がちゃんとその場所に根づかないと、受け入れられて広げていけない、というのも入ってみて感じました。
私がらみくんに信頼を置いているのは、お願いしたことの神髄をついてくれて、「それがやりたかったの」を見つけてくれて、しかもその斜め上を行ってくれる。一緒にやっていて楽しいんです。
B-Side NOTES ― Ramen to Bíiru(コペンハーゲン)
今回は、デンマーク・コペンハーゲンのラーメン店「Ramen to Bíiru」を紹介します。僕はまだ行ったことがないんですが、ここの総料理長・尾谷拓郎——たくちゃんが、僕の友達なんです。専門学校生の頃からの知り合いで、もともとグラフィックデザイナー。その後、奥さんと一緒にデンマークへ移住して、気づいたら人気ラーメン店の総料理長になっていた。
お店は、クラフトビールで世界的に有名なミッケラーの創業者ミッケルさんと、コペンハーゲンで日本食レストラン「BENTO」をやっていた宇木大輔さんが創業したそうで。宇木さんとたくちゃんが知り合いだったことから、総料理長に抜擢されたと。コペンハーゲン市内に4店舗と、空港に1店舗。すごい人気らしいです。SNSを見ると、坐禅したり空手したり、不思議なこともやっていて面白い。
グラフィックデザイナーが総料理長になるって、すごい。ますますコペンハーゲンに行きたくなります。
おわりに
今日は、いろんなクリエーションに挑戦している若者、中村来実さんをお招きしました。言葉選びに愛がある方で、こちらが驚かされることばかりでした。長沼に遊びに行った際は、顔を出したいなと思っています。配信と同時に、番組の雰囲気に合わせたソングリストをSpotifyにアップしています。リンクはホームページやSNSから。お届けしたのは映像ディレクターの鈴木謙太郎と、
枯淡珈琲の川筋愛友でした。ありがとうございました。
※ 読みやすさのため、話し言葉を一部整えています。内容は本編音声にもとづきます。聞き取りづらい一部の固有名詞は、確認のうえ表記しています。